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私のオススメ授業紹介:情報科学(甲斐 聖人さん)
国際教養大学(AIU)の際立った特長の一つが「すべての授業を英語で開講していること」です。ただし、本学は「英語を学ぶ大学」ではありません。「英語で学び、英語で考える大学」です。
また、本学は一貫して少人数教育を徹底しています。教員と学生のコミュニケーションの機会を増やすことにより、自ら考え、意見を主張できる能力を磨くことを目的としています。
この「私のオススメ授業紹介」では、学生自身が「おもしろかった!」「ためになった!」「ぜひ受験生のみなさんにも学んでほしい!」と思った授業を、学生自身の言葉で紹介する企画です。今回は甲斐 聖人(かい まさと)さんのオススメ授業をご紹介します。
はじめまして!熊本県出身の19期生 甲斐 聖人です。入学後はダンス部で日々楽しく活動しており、去年はAIU祭実行委員会 企画舞台部で企画長を務めていました。この度は、私がオススメしたい2つの授業を紹介させていただくことになりました。まず初めに紹介するのは「情報科学」です!
科目情報
INF260 情報科学
教員:橘 保貴 助教
単位数:3単位
何を学ぶ授業なのか
情報科学は、数学の理論や知識をもとにして「情報」についての研究をする学問分野です。このコースの前半では、情報を処理する上でコンピュータ内で行われている算術?論理の演算とはどのようなものなのか、という計算機科学の基礎を主に学びます。後半では、情報というものをどう定量化(「数値」という形で表現)するのか、またどのようにそのデータサイズを小さくし、効率的な情報処理を実現するのか、といった情報理論に焦点を当てていきます。このコースは情報科学の基礎から学べるように設計されているため、基本的な数学力で無理なく学習を進めることができます。
「世界」の捉え方が変わる
今や日常の中で「高度情報化社会」「Society 5.0」 等の言葉を耳にしないことはありません。社会において情報あるいはそれを扱うテクノロジーの影響力が増幅していることの表れです。勉学でも娯楽でもコンピュータが身近にある私たちの生活ですが、そんなコンピュータについての理解を少しでも深めることで、課題に取り組む際に向き合うパソコンや普段持ち歩いているスマートフォンへの意識を変える助けになるでしょう。
情報が大きな力を持つ現代において、この意識の変革は現代の世界をより高い解像度で捉えるための重要な糸口となるはずです。例えば、かつての私は「二進法」を高校数学の一要素程度にしか捉えていませんでしたが、実際にこの授業を通して「コンピュータの中で二進法がどのように応用されているのか」「なぜ他の記数法よりも二進法が良いのか」といった理解を深めたことで、普段使っているデバイスがどれほど複雑な処理をしているのか、そしてそのようなデバイスを当たり前のように手に入れられる現代がどれほど恵まれているのかを痛感しました。
脱コンフォートゾーン
私は生きていく中でのマイポリシーをいくつか持っているのですが、特に大切にしているものの一つに「脱コンフォートゾーン」があります。これは多少厳しい状況に身を置いてでも、自分の視野を広げ、視座を高めるための努力に時間を費やしたいという思いによるものです。私は入学当初、「英語で理系科目を学ぶ」ことに興味があった一方で、その経験がなかったことで尻込みをしていた時期がありました。しかし、実際にコンフォートゾーン(ストレスのない、居心地の良い環境)を脱してこの「情報科学」の授業に挑戦してみたことで、英語で数字を扱うことへの抵抗が払拭され、またこの秋から予定している留学先で情報分野をさらに探究するという目的を固める契機にもなりました。
理系科目よりも文系科目を得意とする人が多いAIU。この記事やシラバスを読んでみて「情報科学」に少しでも興味を持った人の中で、何らかの理由で同じように躊躇している人がいたとしたら、ぜひ背中を押したいです。挑戦の先にある成功や失敗で人間は大きくなるし、挑戦を通じて広がり、豊かになった世界を見ることは、挑戦する勇気を持った人のみに与えられる特権です。そして何より、挑戦する人は格好いいです。
橘先生からのメッセージ
情報処理やコンピュータシステムの基礎には、数学が深く関わっています。多くの人はそのことを知っていても、実際に数学がどのように用いられているのか、また情報に定量性を持たせる (数字を用いて表す) ことが本当に可能なのか疑問に思うことでしょう。科学、特に数学を多用する分野において最も重要な最初のステップは、興味の対象や現象に対して数学的な対応を見つけ出すことです。情報科学においては、このステップが特に印象的になる事例が多く登場します。
この世界には、もともと数字で表されているものなど、少なくとも私たちが現在感知できる形では存在しません。しかし、科学者たちは驚くべき方法で自然現象に数学を対応させて表現することに成功し、科学による数学的手法の適応範囲を大きく広げてきました。情報科学はまさにそれが大成功した例と言えるのではないでしょうか。