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私の留学レポート:タイ?マヒドン大学インターナショナルカレッジ?奥野 美優さん(2)~
国際教養大学では1年間の留学が必須となっています。語学留学ではありません。専門科目を現地の学生と共に履修し、本学での卒業単位の一部として認められる必要がある、「本気」の留学。学生が、それぞれ深めたい学問分野に応じて200以上ある海外提携大学の中から選択します。良いことばかりじゃない、ときには苦しいことや辛いこともあるのがAIUの「本気」の留学です。ここでは、そんな学生たちのストーリーを自身の言葉でレポートしてもらいます。
今回は、タイに留学中の奥野 美優(おくの みゆう)さんのレポート第2弾をご紹介します。
タイに来て学び、もっと知りたいと思った授業
①Human Rights and International Relations(人権と国際関係)
この授業では主に人権に関する国際法を学んだのち、実際の事例がどの規定に当てはまるかを考えました。留学先で履修した専門科目としてはこの授業が初めてだったのですが、知識豊富なクラスメイトが多く、活発な議論に刺激を受けました。事例研究をする際にはタイや他の東南アジアの事例が多く取り上げられ、タイの大学で学ぶからこそ知ることができる内容が多く興味深かったです。テーマを選択して調査論文を書く際にタイで働いている移民労働者の権利について調べたのですが、タイの急速な発展には近隣諸国からの移民労働者の力が欠かせない半面、その人たちの権利が十分に守られていない現実を知りました。
②Contemporary Southeast Asia: Cultural Studies(現代の東南アジアにおける文化研究)
この授業では文化を切り口に東南アジア各国の社会問題やそれに対する様々な運動について学びました。フィリピン出身の担当教授とタイ人のクラスメイトの議論から東南アジアの国々における共通点や相違点を学んだほか、グループに分かれてASEAN各国の国内問題を調査し、それぞれの国でどのようなことが起こっているのかを発表しました。
私たちのグループはミャンマーについて調べることになり、主なトピックを民主化運動に設定しました。ミャンマーの民主化運動はアジア各国の同様の動きとつながっている、という内容をポスターで発表することにしたのですが、グループメンバーの中国人学生からは台湾情勢を巡る表現を変更してほしいというような要望が出るなど、多国籍のメンバーでプロジェクトを行う際はメンバー各々のバックグラウンドにも配慮が必要なことも学びました。
夏季休暇は実践にチャレンジ~NGOでのボランティア~
私の留学先であるマヒドン大学の夏季休暇は7週間ほどあり、その時間を使ってタイ北東部を拠点に活動するNGOのボランティアとして活動しました。留学前から教職課程を履修しており、教育に興味があったことから、主に英語を教える活動を行いました。午前は公立小学校を訪問して幼稚園や小学校の子どもたちに英語を教え、午後は特別支援学校で英語の授業を行いました。毎日多忙な中、授業準備に時間がかかってしまったり、英語を話せる方があまりおらず、先生方とうまくコミュニケーションを取れなかったりと大変なこともありました。しかし、元気でかわいい子どもたちにたくさんパワーをもらい、障がいを持つ生徒にもたくさん励まされ、最終日までやり遂げることができました。これまでAIUの教職課程で学んできたことを実際の授業づくりに生かしたり、他の先生方の授業から学んだりすることができ、教育現場で働くというイメージも掴めて、非常に良い経験になりました。
北東部はタイの中でも経済水準が低いと言われる地域です。元々は「国際協力」に興味があり、現場での活動を経験してみたい、その地域の人たちに何か助けになる活動をしたいといった考えで見つけた活動でした。しかし実際に行ってみると、私が学ばせてもらうことばかりでした。日本の学校に比べると設備は不十分なところもありますが、先生たちは日々プライドを持って仕事をされていました。子どもたちも貧しい家庭から来ている生徒が多いものの、明るく積極的で、先生に対しても協力的で心優しい子どもたちが多かったです。
実際にタイ人の方々と一緒に生活することで、私のように突然やってきた外国人のことも受け入れてくださるあたたかさに触れ、たくさんのことを学び、「経済水準が低い」「開発途上」などの表面的な言葉だけでまとめてはならないと考えるようになりました。留学前は国際協力の現場で働くことに興味がありましたが、今はタイ人の方々に教えてもらった「外国から来た人も受け入れる姿勢」を日本で広められる仕事をしたいと考えています。この自分の考えの変化は実際にタイ人の方々と同じ生活にどっぷり浸かってみないと得ることができなかったため、このボランティア活動を経験して本当に良かったと感じています。
どこで生活するにしても、まずは「郷に入っては郷に従え」
タイに来てから気がつけば8カ月が経過し、留学も終わりが見えてきました。今となってはなぜそのマインドセットになったのかは思い出せませんが、「郷に入っては郷に従え」をポリシーとして行動してきたことは成功だったと感じます。タイ語をできる限り勉強して使ってみたり、タイ人の方々と同じ生活を経験してみたりしたことで、カルチャーギャップを感じることもほぼなく、タイという国の、そしてタイ人の方々の素敵な面をたくさん知ることができました。現地の言語を習得することは簡単なことではありませんが、素敵な現地の方々ともっと話したい、タイの美味しいものをもっと知りたい、というようなシンプルな心持ちがモチベーションになりました。残り3カ月余りの留学生活、悔いなく過ごせるよう一日一日を大切にしていきたいと思います。
国際センターから一言
最初のレポートで、言葉の壁を感じてもどかしい思いをした奥野さんが、タイの小学校や特別支援学校でのボランティアを通し、タイの生活にどんどん溶け込んでいく姿が目に浮かんできました。一方大学では、英語という共通語がありながらも多国籍な学生達と共に学ぶ際のコミュニケーションの難しさも伝わってきます。
留学生活も残り少なくなってきましたが、「タイの好きなところを毎月1つ以上見つけるのが目標」とのことでしたので、ぜひより多くの「好きなところ」を見つけてきてください。
英語版ウェブサイトでは、留学生たちの本学での留学体験記を「Student Voice」として紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。